三重県津市の中田会計事務所です。
相続税シミュレーション
平成15年度改正相続税・贈与税対策Q&A
Q1.相続・贈与一体課税制度は、祖父母からの贈与は対象にならないのでしょうか。
A1.残念ながら原則なりません。この制度は、贈与時には非課税枠を大きくすることにより贈与税を軽減する代わりに、相続時には相続財産と合算(贈与がなかったものとする)して、相続税を計算する仕組みのため、法定相続人(推定相続人)でないと一体化できないためです。
 しかし、孫も祖父母と養子縁組すると法定相続人になるため、この制度の対象となることができます。
Q2.相続・贈与一体課税制度は、金額、贈与回数には制限が無いとのことですが、2,500万円を超えて贈与を受けた場合の贈与税はどうなりますか。
A2. 複数年にわたって利用できる2,500万円を控除した後の金額に、一律20%で計算されます。尚、納付した贈与税は将来相続税額から控除又は還付されます。

〔例〕H15年4月1日  受贈者A  2,000万円贈与 ・・・・・・・ 贈与税 0
   H16年3月1日  受贈者A  1,000万円贈与 ・・・・・・・ 贈与税 100万円
   贈与税の計算 ・・・・・・・(3,000万円 − 2,500万円)×20% = 100万円

Q3.相続・贈与一体課税制度は、一度適用を受けると生前贈与はすべて一体課税になる、すなわち通常の110万円の基礎控除は受けられなくなるのでしょうか。

A3. この一体課税制度は、子である兄弟姉妹が各々、贈与者である父母ごとに選択することができることとなっています。
 そのため、一度この制度を選んだ受贈者(財産をもらう人)は、その贈与者との間におけるそれ以後の生前贈与はすべてこの制度の適用になってしまいます。
 すなわち、2,500万円と110万円のダブル適用はできないということです。しかし、贈与者が違えば、110万円の基礎控除を受けることができます。

Q4.相続・贈与一体課税制度は、贈与財産の種類に制限を設けないとなっていますが新築された建物の贈与を受けた場合、その贈与税計算上の評価はどのようになるのでしょうか。

A4.相続税も贈与税も評価は原則時価となっています。
 しかし、具体的には、建物については市町村の固定資産台帳に登録されている価額(固定資産評価額)により評価しても良いこととなっています。
 このため、例えば1億円で建築された建物でも、市町村の固定資産評価額が、例えば5,000万円であれば、5,000万円で贈与されたものとして計算して差し支えありません。
  しかし、建築する以前から贈与する契約があったと見なされると、1億円で計算しなければならなくなるおそれもありますので注意して下さい。

Q5.相続・贈与一体課税制度を活用して賃貸用のアパートを息子に贈与しようと思いますが、何か問題はあるでしょうか。
A5.年令等本来の条件が整っていれば問題ありません。
 この制度を活用することにより、アパートの収益が息子さんに移転できるため、所得税・住民税対策上は大変有利な方法だと思いますが、注意点は次の通りです。
 1)登録免許税がかかる。
   ・H14年3月31日まで ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 固定資産評価額 × 2.5%
   ・H15年4月1日〜18年3月31日 ・・・・・・   〃    × 1%
   ・H18年4月1日〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  〃   × 2%

 2) 不動産取得税がかかる。 固定資産評価額 × 3%

 3)贈 与 税 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2,500万円超の金額 × 20%

Q6.賃貸用不動産を生前贈与しての「相続・贈与一体課税制度」活用方法を教えて下さい。
A6−1.メリット.デメリット等は次の通りです。
 (1)メリット
  1) 賃貸不動産の収益を子に移転することが容易となる。
  2)親の相続に備え、子の相続税の支払原資を確保することができる。
 (2)デメリット
  1)登記費用、不動産取得税がかかる。
  2)賃借人(入居人等)が、贈与時と相続時と違う場合は「貸家建付地評価」が適用できない。

A6−2.
お金よりもアパート等で贈与する方が有利です。
  (1)建物の贈与税評価は、固定資産税評価額×1.0倍であり、大変低い評価である。
  (2)この場合の固定資産税評価額は、建築費に比べて、50%〜60%である。
  (3)アパート等はさらに借家権(30%)を控除することができる。
   〔例〕建 築 費       約 7,000万円
      固定資産税評価額  約 3,500万円
      贈与税評価額     3,500万円 × 0.7 = 2,450万円

A6−3.賃貸用建物を贈与した場合における税金等は次の通りです。
  ●アパート等を贈与した場合の贈与税評価額とかかる税金の事例
固定資産税評価額 2,500万円 3,000万円 4,000万円 5,000万円
建物評価額 (約) 1,750万円 2,100万円 2,800万円 3,500万円
贈 与 税 0円 0円 60万円 200万円
登録免許税 25万円 30万円 40万円 50万円
不動産取得税 75万円 90万円 120万円 150万円
合計 100万円 120万円 220万円 400万円
Q7.住宅を取得するための相続・贈与一体課税制度については、65才未満である親からの贈与も適用があるとのことですが、受ける側(受贈者)の年令制限はあるのでしょうか。
A7.この制度は本来の相続・贈与一体課税制度(相続時精算課税制度)を基本とし、一定の条件の居住用住宅の取得等の場合にだけ1,000万円上乗せし、非課税枠を3,500万円としているもののため、受贈者は20才以上の子である推定 相続人(代襲相続人を含む)であることが必要です。
Q8.現行の住宅取得資金贈与の特例(550万円)と相続・贈与一体課税制度とのダブル適用はできるのでしょうか。又、父・母それぞれについて相続・贈与一体課税制度のダブル適用はできるのでしょうか。
A8−1.現行の住宅取得資金贈与の特例(5分5乗方式)は平成17年12月31日まで経過措置として存置されます。
  しかし、平成15年1月1日以降この特例を受けた者は、その後5年間はこの相続・贈与一体課税制度の選択ができないこととなっています。
 尚、この規定は同じ贈与者からの贈与であり、贈与者が違えば問題はありません。
〔例〕
住宅取得資金贈与は 祖父から 550万円
相続・贈与一体課税選択により 父から 3,500万円
  4,050万円

A8−2.この一体課税制度は、父・母ごとに選択できるものとしていますので、ダブル適用は問題ありません。
〔例〕

相続・贈与一体課税選択により  父から 3,500万円
       〃   母から 3,500万円
  7,000万円
Q9.住宅を建てるための土地購入資金は、住宅取得等資金には該当しないのでしょうか。
A9.この制度は自己の居住の用に供する「一定の家屋」「一定の増改築」のための資金 の贈与となっており、原則としてその住宅を建てるための土地は対象となっていま せん。
 しかし、次のような住宅用家屋の新築等とともに取得するその敷地の用に 供されている土地等は対象になることとなっています。
  ・建売住宅の土地等
  ・分譲マンションの土地等
Q10.65才未満の親より住宅取得等資金の贈与を受けた場合において、その後その親より65才に達するまでの間に受けた生前贈与の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
A10.住宅取得資金についての贈与者は、65才未満の親でも良いこととなっています。一方、住宅取得資金以外は65才以上の親であることが条件となっています。
  しかし、相続・贈与一体課税制度の適用において、まず先に住宅取得等資金の贈与を受け、「相続時精算課税選択届出書」を提出した場合には、それ以後のその 親からの贈与については、65才以上の親から贈与を受けた本来の相続時精算課 税適用者と、まったく同様の扱いを受けることとなっています。
そのため、今回のケースでは、父(60才)が65才になるのを待つ必要なく、残りの非課税枠
 「3,500万円 − 1,500万円 = 2,000万円」
が使えることになります。
Q11.孫を養子縁組した場合の相続税額の2割加算についてはどのようになっていますか。
A11.相続税を計算する場合において、相続又は遺贈によって財産を取得した者がその被相続人の一親等の血族(その者の代襲相続は除く)及び配偶者以外の者である場合は、その者の相続税に2割を加算した金額がその者の相続税額とされています。これは、このような者の財産の取得は偶然性が多く、特に孫に遺贈した場合には課税を一回免れること等によるものです。
 しかし、孫が養子となった場合には、一親等の血族となるため、2割加算の適用は無いこととなっていました。
 今回の改正では、たとえ孫を養子縁組した場合でも、孫の場合は2割加算の対象となるということです。(代襲相続は除く)
Q12.相続・贈与一体課税制度を選択するか否かの基準又は考え方はどのようにすれば良いのですか。
A12−1.その者の財産の合計額が相続税の基礎控除額以下である場合においては、相続時に今までの贈与財産を合計しても、やはり基礎控除額以下のため、相続税はかからないため大変有利になります。
 しかし、将来相続税の基礎控除額が引き下げられる可能性があることには注意が必要です。

A12−2.その者の財産の合計額が相続税の基礎控除額を超える場合は、相続発生時の財産に、今までの相続・贈与一体課税制度を選択した生前贈与財産はすべて加算の対象となるため、その者の相続税の合計額に変わりはありません。
  しかし、相続発生時に加算する金額は贈与時の時価(贈与時の評価額)であるた め、今後評価の高くなるもの(高くなる場所)は早い目に贈与した方が有利です。

〔例〕 1)将来用途変更が予想される土地等
    2)将来値上がりが予想される株式等

A12−3.相続発生時に遺産分割等で争いが予想される場合は、早い目に生前贈与により 分割しておくのも良い方法です。

A12−4.収益性の良い賃貸物件を生前贈与し、所得税・住民税対策をするのも良い方法です。

(注)不動産を贈与する場合は、登録免許税・不動産取得税がかかることに注意が必要です。

Q13.相続・贈与一体課税制度を選択した場合において、生前贈与を受けた者が先に死亡した場合はどのようになりますか。
A13.明確な規定は現在のところありませんが、次のようなことが考えられます。
1) その者の代襲相続人が相続する場合は、同様に相続時加算の対象になると思われます。

2)その者の代襲相続人が居ない場合においては、相続人とはならないので、相続時加算の対象とはならないとの考えもありますが、この制度は「相続時精算課税制度」となっているため、何らかの形で加算の対象になると思われます。
現在のところ詳細はわかっていません。
Q14.相続税率、贈与税率の改正によりどれぐらい税負担は減るのですか。
A14−1.相続税の負担比較(相続税の総額)
〔例〕 相続財産3億円.相続人 配偶者、子供2人
  (相続税の総額)
改正前 5,140万円
改正後 4,600万円
軽減額 540万円

(注)上記は相続税の総額であり、実際の納付税額は配偶者の税額軽減等の適用後の金額です。

A14−2.一般の贈与税の負担比較
〔例〕  (300万円を贈与した場合) (500万円を贈与した場合)
改正前 21万円 69.5万円
改正後 19万円 53万円
軽減額 2万円 16.5万円
Q15.不動産の登記をする場合の登録免許税と不動産取得税はどれくらいかかるのですか。

A15.平成15年の改正(案)により、平成15年4月1日以降の登記(取得)より次の通りとなります。
1) 登録免許税の主な税率の改正

  現行 改正後 特例措置
所有権の移転登記(売買) 5% 2% 1%
同 (遺贈、贈与) 2.5% 2% 1%
同 (相続、合併) 0.6% 0.4% 0.2%
所有権の保存登記 0.6% 0.4% 0.2%

 (注1)特例措置は平成15年4月〜平成18年 3月までです。
 (注2)現行は不動産の価額の1/3を課税標準としていますが、改正後はこの特例 は廃止されます。
 (注3)住宅についての特例は保存が0.15%、 売買が0.3%となっています。

2)不動産取得税の改正
              (現 行)  (改 正)
 不動産の価額 × ( 1/ 2 ) × 4%  ->  3%

 (注1)上記の適用は平成15年4月〜18年3月までです。
 (注2)住宅及び住宅用地については、今まで通り3%のままです。

Q16.改正により贈与税はどのような体系になるのか具体的に教えて下さい。
A16.今回の改正により、贈与税の体系は次の通りとなります。
  ●贈与税の新課税体系
  現 行 改 正
基礎控除額 110万円
(贈与者 受贈者とも制限無し)
継 続
住宅取得資金等 550万円
(贈与者は父母又は祖父母に限定)
550万円
(平成17年12月31日まで存置)
贈与税の配偶者控除
(婚姻期間が20年以上の配偶者からの居住用不動産又はそれを取得するための金銭)
継 続
(新設) 相続時精算課税制度 2,500万円
贈与者・・・・・65才以上の親
受贈者・・・・・20才以上の子
(新設) 住宅取得資金等に係る相続時精算課税制度 3,500万円
贈与者・・・・・親(年齢制限なし)
受贈者・・・・・20才以上の子
Q17.相続税の税務調査の現状を教えて下さい。
A17.平成14年10月16日国税庁の発表した資料によりますと、税務調査の現状並びに申告もれの態様はこちらのようになっています。特に、預貯金、有価証券の申告もれだけで修正申告全体の57%を占めていることに注意が必要です。
 1.相続税申告割合
     約 50,000人
   ────────  = 5.1%
     約 980,000人

 2.1人当り遺産額
      約 13兆円
   ────────  = 2億6,000万円
      約 50,000人

 3.税務調査割合
      10,282人
   ────────  = 20.56%
     約 50,000人

 4.修正申告割合
      9,299人
   ────────  = 90.4%
      約 10,282人

 5.1人当り申告もれ遺産額
      3,463億円
   ───────  = 3,724万円
      9,299人

 6.1人当り申告もれ相続税額
      767億円
   ────────  = 285万円
      9,299人

 7.重加算税対象割合
     1,746人
  ────────  = 18.77%
     9,299人

 8.申告もれ遺産額の内訳
   現金・預貯金 ・・・・・・・ 37.5%
   有 価 証 券 ・・・・・・・ 19.5%
   土     地 ・・・・・・・ 20.2%
   そ  の  他 ・・・・・・・ 22.8%

Q18.預貯金や有価証券等を贈与をする場合、税務署に贈与があったと認められるためには、どのような事をしておく必要があるでしょうか。
A18.贈与は民法上の契約行為です。贈与者の「贈与する」という意思と受贈者の「贈与を受ける」という意思がお互いに合致しているかどうかが問題です。
 そのための対策として、次のようにされることをおすすめします。

1.贈与は、贈与税の基礎控除額を超えるようにし、税務署へ申告する。
2.贈与契約書を交わしておく。

 尚、普段贈与税について単独での税務調査はほとんど無いのが現実です。
 しかし、一旦相続が発生すると過去に遡っての調査があるため、税務調査で問題になるのは大半がこの問題です。
 いずれにしても「管理・運用・収益」は、受贈者が行っているかどうかも大変重要なポイントですので充分注意して下さい。

贈 与 契 約 書(例)

贈与者○○○○(父)と受贈者△△△△(長男)の間で、下記の通り贈契約を締結した。

第1条 ○○○○は、その所有する下記の物件を△△△△に贈与することを申し出て、△△△△はこれを受諾した。

 (贈与物件の表示)
  1.現金 120万円

第2条 ○○○○は前条記載の物件を、平成○年○月○日までに△△△△に引き渡すこととする。

上記契約成立の証として本書を作成し、当事者署名押印のうえ、各壱通を所持する。

平成○年○月○日

□□□□□□□□□□番地
贈与者  ○ ○ ○ ○ 印
□□□□□□□□□□番地
受贈者  △ △ △ △ 印


Q19.相続税・贈与税についての時効(更正等の期間制限)について教えて下さい。
A19−1.現行の時効(国税の除斥期間)は、次のようになっています。

(期間)
 1) 更正の場合(申告に誤りがあり増える場合)・・・・・・・・・ 3年
 2) 更正(減額)の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5年
 3) 決定の場合(無申告の場合)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5年
 4) 加算税賦課決定の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5年
 5) 偽りその他不正の行為に基づく場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 7年
 6) 上記5)の場合の加算税賦課決定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・7年

※ 期間は法定申告期限の翌日から起算されます。

A19−2.平成15年度の税制改正(案)では、贈与税についての更正等の期間制限(時効)を次の通り延長することとなっていますので、対応には充分注意して下さい。

                                     (現行)  (改正)
1) 更正の場合(申告に誤りがあり増える場合)・・・・・・・・・・ 3年 -> 6年
2) 決定の場合(無申告の場合)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5年 -> 6年

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